INTERVIEW

2019年9月にShiggy Jr.解散後、なぜ今、原田茂幸(Vo,Gt)、森夏彦(Ba)、諸石和馬(Dr)の3人は再び手を組み新たなバンドを始動させることになったのか。「Weekend Brothers」のコンセプトや、どういった音楽をやろうとしているのかなど、バンドの自己紹介も含めて、赤裸々に語った。(インタビュー・テキスト:矢島由佳子)

―単刀直入に聞きます。なぜこの3人でバンドをやることになったんですか?

原田:そもそもの話をすると、池田(智子)がShiggy Jr.をやめるという話をし始めたときに、まあまずは説得をしたんだけど、どうしても止められなくて。

諸石:かなり説得はしたね。

原田:一回決めたら止まらない人だっていうのは知ってたけど、いくら説得してもその意志を変えることはできなくて。でも俺ら3人には続ける意志があったから、「じゃあどうする?」という話になって。バンドをそのままの状態で続けるわけにはいかないけど、単純になにかはやろうっていう話を、実はそのときからしてました。

諸石:この3人に続ける意志があることを確認できたところからは、「この先どうしようか?」としか考えてなかったね。

森:……なんか暗いな(笑)!

諸石:まあ、最初の部分はしょーがない。

原田:そこはしょーがない。

森:一発目のインタビュー、もっと明るくいきたいな(笑)。

―それぞれがそれぞれで音楽の道を歩む、という人生の選択肢もあったはずで、でもやっぱりこの3人で続けたい、ってなったのはとても明るい話だと思いますけどね。

森:そこは、めちゃくちゃ自然な成り行きでしたね。

諸石:そうだね。

森:これだけ一緒にいろんなものを築いてきたし、普段からコミュニケーションもとってるから、絶対にやったほうがいいじゃん、っていう。

諸石:めちゃくちゃ自然だったよね。続けない理由も意味もないというか。

原田:だから、改めて「3人でやろうか」みたいな感覚すらなかったかもしれないです。

―原田さんは、一番最初にインタビューさせてもらった2014年の頃に「フロントマンは自分の性に合ってない」という発言をされていて……。

原田:うん、そう思います(笑)。

―新しいボーカリストを入れるという選択肢は考えなかったですか?

諸石:最初は、多少考えました。そういう形態でやってきたから、若干探したりはしたんですけど。

森:でも、一番ワクワクする選択をしようっていう話になったんだよね。フィーチャリングでボーカルを迎えるとかはこの先柔軟にやると思うけど、この3人がメンバーで、3ピースでやるのが、一番ワクワクするよなって。

諸石:究極を言うと、しげ(原田)が歌うほうが強いなとも思った。結局、作詞作曲はしげで、想いを込めるという意味では曲を作ってる人が歌うのが一番強いじゃないですか。それに、めっちゃいい声してるんですよ。前までもデモはしげの歌が入ってるものが多かったんですけど、デモの時点でめちゃめちゃよくて。それは共通認識としてあったんです。

森:たしかに、外の人からすれば「なんでしげがボーカル?」ってなるかもしれないけど、俺ら的には違和感はまったくない。

―原田さんとしては、どういう気持ちですか? フロントマン、ボーカルをやることに対して。

原田:俺にとっては、ずっと地続きなんです。変わってない。単純に、その中でやり続けるんだったら俺が歌うしかないなっていうふうに思ってる。

―Shiggy Jr.でやりたいと思ってた音楽と、今やりたいことは、全然変わらない?

原田:今回リリースする“最高の1日を”って、ずっと前からあった曲なんです。あれ、俺の中では「#200」なんですよ。“サマータイムラブ”(Shiggy Jr.のメジャーデビュー曲)が「#400」くらいだから、本当にずーっと昔の曲で。自分の曲だと思ってたから出してなかっただけで、俺はずっと好きだったから、今回これを出したいと思ったんです。俺の中では、本当に、地続きなんですよね。たしかにShiggy Jr.は終わったけど、「新しいバンドです!」っていう気持ちじゃない部分もある。ずっと続いてる。なんか、もう、「人生」みたいな。

―今後Weekend Brothersとして新たに生み出していく曲も、これまでとあまり変わらなさそうですか?

原田:逆に、戻ってると思うんですよね。インディーの一番初めの頃に。もともと好きなものに戻ってる。

森:より深いというか、「茂幸汁」があるよね。

―森さんが思う「茂幸汁」、茂幸さんらしさって、言葉にするとどういうものですか?

森:「茂幸汁」は、アメリカンポップスじゃないですかね。あと、日常っぽい感じ。ファンタジーじゃない。

―池田さんが歌う歌詞と、自分が歌う歌詞と、書き方に意識の違いはないんですか?

原田:Shiggy Jr.の頃の感覚を言えば、池田に曲を作ってたから、違わないことはないですけど。でも、インディーの最初の頃は、自分で歌うことを前提として作っていたんです。『LISTEN TO THE MUSIC』(2013年発売、インディー時代の2枚目のミニアルバム)あたりから、ちょっとずつ変わっていったけど、その頃も自分の作りたい曲、歌詞を、ただ自分が思うように作っていて、本当にそこに戻った感じがする。

諸石:だから結局、ストレートになったということだよね。純粋にただやりたいこと、やりたい音になってる。今はDIYに戻って、「こういう曲にしたい」「こういうジャケにしたい」とか、全部自分らで判断できるから、純度がすごく高い感じがします。それがShiggy Jr.がインディーでやってた頃の感覚に近いし、バンドとしての原点に戻った感じがするよね。

森:全部自分たちに責任がくるから、面白いね。

―今は事務所もレコード会社も、後ろ盾はなにもない状態なんですか?

諸石:なんにもない。全員フリーになりました。

原田:ディストリビューションだけ「キャロライン」という会社にやってもらう感じです。圧倒的にインディーズ状態。

森:めちゃくちゃDIY。今回頼んで一緒に作ってくれた人も、全員知り合いで。MVのアニメーションは、俺と諸石の高校からの友達で、今俺とシェアハウスしてるイラストレーター。衣装も、俺の飲み仲間がやってるアパレルから借りてきて。

諸石:マスタリングは俺の兄貴にやってもらいました。リズム隊は兄貴の知り合いの人のスタジオを使わせていただいて録ったんですけど、音を録ってくれたのは、森と俺の高校の同期で、森とシェアハウスしてるもう1人のコレナガタクロウっていうレコーディングエンジニア。写真は、俺の友達のAV業界のカメラマン!(笑)

―では、「Weekend Brothers」と名付けた理由は?

諸石:なるべく能天気でアホっぽい名前にしたいねってなって。

―それはなぜ?

森:かっこつけるよりかは、肩の力が抜けたゆとりのある大人の感じがいいなっていうね。

原田:俺の作る曲って、そういうコンセプトなんですよね。別に大丈夫だよ、なんとかなるよ人生、幸せになろうぜ、みたいな(笑)。

諸石:それで、「Weekend」って週末感、陽気さ、嬉しさ、明るさがあっていいねってなって、「Weekenders」とか色々案を出した中で、「Weekend Brothers」が一番ハマりました。

原田:ちょっとソウルっぽい名前がよかったんだよね。「Brothers」はそういうところからもきています。

―Shiggy Jr.の解散発表のとき、原田さんが「誰かの日常が少しでも明るくなるように、そんな想いでシギーの音楽とライブを作ってきました。人生、色んなことが起きるけど音楽を聴いている時だけはそんな事どうでも良くなって欲しい。この想いは今も強く、これからも俺の真ん中にあると思います」とコメントしていましたけど、その想いが本当に、Weekend Brothersでも続いているし、むしろより大きくなってそうですね。

原田:うん、それは続けたい。だって、「人生」だから、「人生」。楽しけりゃいいんですよ。思い悩んじゃうのもわかるけど、なんとかなるっしょ、って。

森:そこはめちゃくちゃ共通してるよね、この3人。「なんとかなるっしょ精神」。

原田:まあ、なんとか「する」んだけどね、最終的に。

諸石:明るく、楽観的にね。ぶっちゃけ、暗いほうが音に出しやすい気がするね。

原田:まあね。暗いのって、恥ずかしくなっちゃうんだよね。自分で作ってると「みんなそうだから」みたいな気分になっちゃう。

―たしかに。Twitterで愚痴言ってる人とかを見ると、「いやみんなそうだから」とか思ったりしますね。

原田:そうそうそう。だからもっと楽しくしようぜって。そのほうが、らしいんだよね。

諸石:だから「ハッピー」というより「最高」のほうが、バンドのイメージとしては近いかもしれない。

森:「ハッピー」はちょっと押し付けっぽいし、なんとなく無理やり感があるかもな。

諸石:「最高」という状態が音に乗って、その空気感が伝わればいいなと思ってる。世の中を変えたいとか、そんな大きな旗振りはしないけど、「どう? 最高でしょ?」みたいな感覚が世に伝わっていけば一番だなって。

森:3人が楽しくやってるのが音に乗ってて、みんなが「いいな」って思ってくれればいいよね。それが長くできれば最高。

原田:だから本当に、インディーの1枚目のときと、やってる感覚が同じなんだよなあ。

―今後の具体的なビジョンは?

原田:今回これ(“最高の1日を”)を出して、次の月にもう1曲、そのさらに次の月にもう1曲出して、5月くらいにその3曲+2曲くらいでEPを配信で出そうかなと思ってます。で、10月くらいに、もしかしたらフルで盤を出せたらいいのかなあ、と思ってはいる。どうなるかはわからないですけど、とりあえずそれくらいのタイム感でやれたらいいかなって。

森:今はそのための曲作りを諸石の家でやってます。

諸石:この先、しげがボーカリストとしての自信を持っていくわけですよ。そこでどうなっていくかがめっちゃ楽しみ。

森:それは俺も一番楽しみにしてる。

諸石:しげが山下達郎さんみたいになっていくかもしれないですからね。今までは曲を作るときに自分のことをあんまり出してなかったけど、しげのことが外から認知され始めたときに、しげがどう変わっていくのかが楽しみ。

原田:ええー(笑)。やってみないとわからないことがあまりにも多いから、やれることはやろうかなって。

森:なにか無理をするとかはなく、続けていくんだろうなと思いますね。